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「弱きもの」から抵抗者への変容 アリス・ウォーカーの長編小説を読み解く 

著者
光森幸子  
シリーズ
 
助成
 
判型
A5 
ページ
272 
定価
3,080円 (本体2,800円 )
発行日
2019年3月25日 
ISBN
ISBN978-4-86327-473-0 
Cコード
C3098 
ジャンル
文学・語学/欧米〈文学〉
 
内容
アメリカの黒人女性作家、アリス・ウォーカー(Alice Walker)。その作品は、白人男性中心社会の中で「弱きもの、価値なきもの、声なきもの」と否定されている黒人登場人物たちが、厳しい自己省察を経て自らを解放し、次世代の命を守るための「抵抗者」へ変容する姿を生き生きと描き、すべての人の中に成長の可能性があることを切々と訴える。本書では彼女の長編小説全てを読み解き、先行研究では深く論じられてこなかったウォーカーの「全てのものとの一体」(oneness)の真意を、「ウーマニスト」という言葉に託された彼女独自の定義と「非暴力思想」との総合から考察する。

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まえがき

第1章 <新しい奴隷制度>の下での「一つの命」に向けた闘い
   ―『グレンジ・コープランドの第三の人生』から『メリディアン』への発展―
 はじめに
 第1節 メムからグレンジに伝えられる暴力を超える視点
 第2節 グレンジからルスに託された自己責任の認識
 第3節 メリディアンに示された伝統の真意と抵抗の継承
 第4節 メリディアンからトゥルーマンに託された共同体再生の役割
 おわりに

第2章 女性のセクシュアリティを否定する家庭内暴力への挑戦
   ―『カラーパープル』と『父の微笑みに照らされて』を相互補完的性質から読み解く―
 はじめに
 第1節 父権制と女性のアイデンティティ喪失
 第2節 父権制に抵抗する女性の<痛みの共感>
 第3節 父権制に挑戦する男性の<痛みの共感>
 第4節 父権制を克服するウォーカーの宗教観
 おわりに

第3章 FGM廃絶へ向かって
   ―『喜びの秘密をもつこと』における「普遍的自己アイデンティティ」獲得の重要性―
 はじめに
 第1節 FGMを強いるアフリカが深めてゆく父権制
 第2節 キリスト教とアフリカの父権制に共通する性差別主義
 第3節 西洋フェミニズムに内在する人種主義
 第4節 西洋をアフリカとつなぐ「普遍的自己アイデンティティ」
 第5節「普遍的自己アイデンティティ」とアメリカの民主主義のつながり
 第6節 タシに託されたウォーカーの希望
 おわりに

第4章 敵対する<他者>のいない世界
   ―『わが愛しきものの神殿』と『今こそ心を開くとき』で希求される帝国主義・植民地主義を超えた未来―
 はじめに
 第1節 親とのつながりの認識
 第2節 新しい自己アイデンティティの認識
 第3節 共通する歴史的体験を通したつながり
 第4節 <他者>のいない世界の構築
 おわりに

あとがき
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