「海の道―瀬戸内海―」
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(『海の道―瀬戸内海―』刊行に至る経緯 より) 本書には、杉原さんの膨大かつ該博な歴史への造詣の深さと格調高い文学的な表現力、いわば歴史と文学が渾然一体となって溢れ出ている。歴史について言えば、平清盛や足利尊氏など、瀬戸内海と関わった人物と中央の歴史が結び付けられていて、驚くことしきりである。さらに注目すべきは、名もなき漁村の人々がどのように生業を営み、進取の気迫で外洋に生活の糧を求めて行ったかが活写されていることである。文学について言えば、瀬戸内海沿岸の人々の哀歓が詩情豊かに描かれている。まさに瀬戸内海の歴史を縦糸に、人々への豊かな共感性や古典への造詣を横糸として、立体性のある織物、〝綾〟になっている。 残念ながら、本書は杉原さんの「挽歌」となってしまった。けれども、「挽歌=木挽き歌」に留めてはならないだろう。本書には瀬戸内圏に住む人々に対する「瀬戸内海の持つ豊饒さに気付いて、美しい景観を守って欲しい」というメセージが込められている。 |
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目 次 |
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『海の道―瀬戸内海―』刊行に至る経緯 ……………福山市立大学教授 田渕五十生 序――瀬戸内海と地中海 1 難波津から神島へ 1 運ばれた巨木と巨石 2 遣新羅使のこと 3 新羅への旅立ち 4 難波津を出航する 5 難波津から家島へ 6 印南都麻から玉の浦へ 7 吉備穴海(児島湾)を行く 8 玉の浦と玉島の海 9 玉島物語――そして神島へ 10 神島はカシマ、いやコウノシマ 11 神島の磯廻の浦 (1) 12 神島の磯廻の浦 (2) 2 遣唐使と遣新羅使 1 遣唐使の話 (1) 2 遣唐使の話 (2) 3 遣唐使の話 (3) 4 遣唐使の話 (4) 5 遣唐使の話 (5) 6 遣唐使の話 (6) 3 潮待ちの港・鞆の浦 1 神島から鞆の浦へ 2 鞆物語――むろの木の話 (1) 3 鞆物語――むろの木の話 (2) 4 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (古代) 5 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (中世・1) 6 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (中世・2) 7 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (中世・3) 8 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (中世・4) |
9 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (近世・1)
10 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (近世・2) 11 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (近世・3) 12 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (近世・4) 13 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (近世・5) 14 鞆物語――鞆ゆかりの人々 (近世・6) 4 鞆の浦から長門の浦へ 1 鞆から長井浦へ 2 長井浦と糸碕神社 3 長井浦から風早の浦へ 4 風早物語 5 海の記憶 (1) 6 海の記憶 (2) 7 海の記憶 (3) 8 海の記憶 (4) 9 風早の浦から長門の浦へ 10 倉橋島物語 (1) 11 倉橋島物語 (2) 5 長門の浦から分間の浦へ 1 長門浦から麻里布浦へ 2 麻里布の浦の物語 3 岩国物語 4 麻里布浦から大島の鳴門へ 5 大島の鳴門 6 周防大島(屋代島)物語 7 旅する巨人・宮本常一 8 宮本常一の話――そして熊毛の浦 9 熊毛の浦物語(室津と上関) 10 熊毛の浦と祝島…そして難破 11 分間の浦 初出一覧 おわりに 参考文献 |
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