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〈実践=教育思想〉の構築 ―「話すこと・聞くこと」教育の現象学―

著者
森 美智代 
シリーズ
 
助成
 
判型
A5 
ページ
330 
定価
4,950円 (本体4,500円 )
発行日
2011年7月20日 
ISBN
ISBN978-4-86327-139-5 
Cコード
C3037 
ジャンル
教育〈教育学〉 国語・漢文教育〈話し言葉教育〉
 
内容
授業実践が構築されるところには一教師の教育思想が反映される。特に「話すこと・聞くこと」に焦点をあて、学習者の「今」が結びついた授業構想の思想を研究する。書評
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序 章 授業構想のための教育思想研究を目指して

第1章 「話すこと・聞くこと」の教育研究における教育思想の検討

 第1節 従来の「話すこと・聞くこと」の教育研究に何が欠けていたのか
  1 実践を説明するための理論という罠
  2 客観的な実証性以外の普遍性を求めて
  3 経験知の受容
  4 諸学問の知の受容
  5 経験知と諸学問の知と一人の人間という3つの要素
 第2節 実践的研究における教育思想の抽出
  1 教育思想の抽出のための方法
  2 実践的研究の分析のための観点――平成元年版学習指導要領から――
  3 実践的研究の分類
  4 実践に影響を与える理論の存在(高橋俊三理論を例として)
  5 理論と実践独自の目標との関係
  6 実践的研究に影響を与える学習指導要領と諸理論
 第3節 理論的研究における教育思想の抽出
  1 教育思想の抽出のための方法
  2 理論的研究の分類
  3 理論的研究を支える諸理論の見取り図
 第4節 理論的研究における諸理論援用の課題
  1 理論的研究における諸理論援用の課題を明らかにするために
  2 藤森「目標論」
  3 甲斐・長田「教育課程論」
  4 基礎論的研究としての教育思想研究の必要性と課題

第2章 「話すこと・聞くこと」の教育研究における思想的背景の検討
     ――マルティン・ブーバーの「対話」論の受容と限界――

 第1節 マルティン・ブーバーの「対話」論とは
  1 ブーバーの「対話」論とは
  2 「他者」と「他人」という区別
 第2節 ブーバーの「対話」論の思想的背景への変容
  1 「それ」/「なんじ」の明確な区別という受容
  2 「われ-それ」の関係性の形成をゴールとする受容
  3 「自己生成」のための「それ」への着目と「なんじ」の重視という受容
 第3節 ブーバーの「対話」論の限界
  1 ブーバーの「対話」論の受容の成果
  2 ブーバーの「対話」論の受容の問題点
  3 ブーバーの「対話」論の可能性

第3章 「聞くこと」の教育における思想的背景の構想
     ――エマニュエル・レヴィナスの「他者」論の検討――

 第1節 エマニュエル・レヴィナスの「他者」論とは
  1 臨場性、即時性を重視した現象学の必要
  2 レヴィナスの「他者」論が現象とするもの
  3 理論と実践の関係
  4 他者によって生きること
 第2節 「聞くこと」の教育思想の構想
  1 教室で「晒される」「私」と子ども
  2 「他人」の「心」に対する態度
  3 「他者」の存在
  4 レヴィナスの「他者」
  5 「ルスポンサビリテ」としての「聞くこと」
  6 「対面」について
  7 「聞くことの学び」のために
  8 「聞くこと」の教育思想の課題
 第3節 「話すこと・聞くこと」の教育思想の構想のために
  1 2つの〈対話〉
  2 「他人」と「他者」
  3 一つの事例
  4 「反省の対話」
  5 「対面の対話」
  6 「他者」との出会いを起こすために
  7 「聞くこと」の教育の思想的背景としてのレヴィナスの「他者」論

第4章 「話すこと・聞くこと」の教育思想を支える諸実践の検討

 第1節 「話すこと・聞くこと」の教育思想を支える諸実践とは
 第2節 「関係」論
  1 同一化してしまいたい欲望
  2 内側から知ること
  3 フィールドワークの評価を左右する「ラポール」
  4 「ラポール」の無効化
  5 シュッツ論とガーフィンケルの偏向
  6 自らの「自明性を疑う」
  7 適度な距離をもった関係性をこえて
 第3節 「語り」論
  1 弱者として語ること
  2 表象化を問題とする(岡真理の場合)
  3 神話作用への着目(レイ・チョウの主張)
  4 トリン・T・ミンハの試み
  5 ミンハを理解する人
  6 「語り」の問題性
 第4節 「証言」論
  1 「生きづらさ」に直面すること
  2 苦しみを伴った「立ち位置」 
  3 「ヴィクティムズ・オリンピック」と「本国の植民地化」
  4 サイードの立ち位置
  5 両方からの「責め」
  6 ランズマンの試み
  7 ランズマンの実践
  8 「知的理解」を通じて人の心に到達する
  9 「証言」行為としての「話すこと・聞くこと」
 第5節 〈実践=教育思想〉というあり方

第5章 「話すこと・聞くこと」の〈実践=教育思想〉の構築

 第1節 「話すこと・聞くこと」の〈実践=教育思想〉のための目標論
  1 「証言」論から「証人」論へ
  2 岡真理理論における「目撃証人」
  3 コンパッションの原風景
  4 理性ではなく知的理解へのアクセス
  5 「心に到達する」ための「知的理解」
 第2節 「話すこと・聞くこと」の〈実践=教育思想〉のためのカリキュラム論
  1 学習者の「今」を授業にする
  2 レヴィナスの「他者」論について
  3 「他者」としての学習者
  4 「知的理解」へと向かう
  5 「他者」の「享受」を実現する授業へ
  6 学びを支えるカリキュラムづくり
  7 「文章表現」の授業を支えた他の授業
  8 「知的理解」と関係性の構築
  9 カリキュラムの構築と授業の構想
 第3節 学習者とともにつくる〈実践=教育思想〉
  1 〈実践=教育思想〉という試み
  2 意図された学習者への負荷
  3 教師の取り組み
  4 授業という出来事の分有
  5 「密室」の役割
 第4節 教材化のプロセスから見た〈実践=教育思想〉
  1 ランズマンの目的
  2 「知的理解をつうじて人々の心に到達する」という教育目標
  3 教材化のプロセスと授業の実際
  4 学習者が「今」必要とする力と結びつけるための方法
 第5節 「話すこと・聞くこと」の〈実践=教育思想〉の構築
  1 「現前」する「顔」との隔たりから
  2 「享受」にともなう幸福

終 章 〈実践=教育思想〉の探究



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