検索結果一覧

言語生活の拡張を志向する説明的文章学習指導 ─「わからないから読む」行為を支えるカリキュラム設計─ 

著者
舟橋秀晃 
シリーズ
 
助成
2019年度学術振興会助成 
判型
A5 
ページ
434 
定価
6,820円 (本体6,200円 )
発行日
2019年9月30日 
ISBN
ISBN978-4-86327-487-7 
Cコード
C3081 
ジャンル
国語・漢文教育〈読みの指導〉
 
内容
小学校では易しく高等学校では難解な説明文教材。その差を「社会的文脈」に着目して均すカリキュラム・モデルを提案する。言語生活から遊離しがちな中学校以降の教科書教材には、別の文章を加え議論を発見させるのが効果的であることを、理論・実践両面から提示する。

書評

渓水社で購入する
 

購入冊数

オンライン書店で購入

この本の目次を見る
まえがき ─解題─

序章 研究の目的と方法

第1節 研究の目的

第2節 研究の方法

第3節 研究の意義

第1章 先行研究の検討

第1節 国語科カリキュラム研究の主要な動向と課題
   第1項 教育と学習のカリキュラムの相互関係と国語科の位置
   第2項 国語科カリキュラム検討の3観点から見る戦後の動向
   第3項 国語科カリキュラム研究の現在の到達点と課題

第2節 国語科説明的文章学習指導における論理観の整理と課題
    ─筆者・読者それぞれの論理に着目して─
   第1項 論理観をめぐる混乱
   第2項 整理の対象とする先行研究の範囲
   第3項 論理観整理の枠組みとあるべき論理観
   第4項 論理観の整理と検討
1 筆者の論理を偏重するもの/2 読者の論理を偏重するもの/3 筆者の論理中の「表現の論理」と「認識の論理」との関係を見誤っているもの
   第5項 論理観の整理から見出せる課題

第3節 小中学校国語科「読むこと」教科書外教材の位置の変遷と議論
    ─よき典型から練習教材への教材概念拡張の動きと異論─
   第1項 教科書教材重視の経緯への着目
   第2項 検討の対象とする先行研究の範囲
   第3項 小中学校学習指導要領に見られる教材の記述の変遷
1 1947(昭和22)年版試案の場合/2 1951(昭和26)年版試案の場合/3 1958(昭和33)年版の場合/4 1968-69(昭和43-44)年版の場合/5 1977(昭和52)年版の場合/6 1989(平成元)年版の場合/7 1998(平成10)年版の場合/8 2008(平成20)年版の場合
   第4項 教科書教材と教科書外教材をめぐるこれまでの主要な論点
1 各教員の力量が及ぶか/2 多読か精読のどちらを重視するか/3 文章以外が教材になり得るか/4 誤りや問題をどの程度取り除き,系統性にどの程度配慮するか
   第5項 国語科「読むこと」教材をめぐる議論から見出せる課題

第4節 国語科説明的文章学習指導における諸課題の整理と課題の再設定

第2章 言語生活の拡張を志向する説明的文章の読みの能力とその系統

第1節 社会的文脈を扱う理論の必要性と課題  
    ─トゥールミン・モデルの限界を超えるために─
   第1項 トゥールミン・モデル導入の有効性と限界
   第2項 社会的構成主義において強調される説明的文章の読みの側面
   第3項 論理観整理の枠組みから規定される説明的文章の読みの能力

第2節 エンゲストロームの拡張的学習理論の検討
    ─内容・形式両立のための水平・垂直2方向での捉え直し─
   第1項 エンゲストローム「拡張的学習」の概要
   第2項 エンゲストローム「探究的学習」の概要
   第3項 ヴィゴツキー理論の解釈に向けられた批判と本研究の立場

第3節 社会的文脈を扱う理論の国語科説明的文章学習との対応
   第1項 社会的構成主義に立つこと自体に由来する意義
   第2項 エンゲストローム「拡張的学習」の意義
   第3項 エンゲストローム「探究的学習」の意義
1 学習者/2 対象/3 知識,道具/4 動機づけ/5 その他─垂直と水平─

第4節 読みの能力の垂直次元と水平次元における系統性の検討
    ─「個人の認識論」と「間テクスト性」を踏まえて─
   第1項 「個人の認識論」から得られる示唆
   第2項 読みの能力の垂直系統の概念規定
   第3項 「間テクスト性」の議論から得られる示唆
   第4項 読みの能力の水平系統の概念規定

第3章 小中学校国語教科書教材の系統性と補助教材との関係

第1節 説明的文章の教科書教材分析に関する先行研究概観
    ─教科書と言語生活をつなぐ非形式論理学的知識への着目─
   第1項 非形式論理学的な論理性を観点とする教科書教材分析の意義
       ─説明書き・修辞性・典型性・カプセル化との関係─
   第2項 教科書教材の教材性に関する分析研究の動向

第2節 先行研究から小学校教科書教材に見出される系統性
    ─論理的思考の発達と社会的文脈からの距離─

第3節 分析から中学校教科書教材に見出される系統性
   第1項 先行研究との関係
   第2項 第1学年の場合
       ─事実ならびに主張の質とその変化─
1 光村図書の場合/2 東京書籍の場合/3 「事実」の種類とその順序
   第3項 第2学年の場合
       ─理由づけの質とその変化─
1 光村図書の場合/2 東京書籍の場合/3 「理由づけ」の種類とその順序/4 「理由づけ」の構造とその順序
   第4項 第3学年の場合
       ─主張の質と社会的文脈への接近─
1「主張」と社会的文脈との関係/2 光村図書の場合/3 東京書籍の場合/4 「主張」の種類とその順序/5 「主張」と社会的文脈の間の距離

第4節 教科書教材の実態と垂直・水平系統性仮説との対応
   第1項 主教材の実態にみる系統性
       ─事実から価値への移行─
   第2項 補助教材の果たす役割と教科書外教材に求める役割
       ─国語科学習の日常への適用という観点から─

第4章 言語生活の拡張を志向する説明的文章学習活動の構造

第1節 拡張の観点から見た小中学校説明的文章学習活動の類型
    ─社会的文脈への接続の方途としての読解指導と読書指導との連関の可能性─
   第1項 教科書教材に他の教材を組み合わせて読む学習活動への着目
   第2項 検討の対象とする先行実践の範囲と検討の観点
1 期間/2 対象/3 観点
   第3項 各要素を含む先行実践とその学習活動の類型の整理
1 概況/2 A[内容]の要素を含む実践例/3 B[形式]の要素を含む実践例/4 C[論理]の要素を含む実践例/5 D[情報]の要素を含む実践例/6 E[表現]の要素を含む実践例
   第4項 学年段階ごとの単元編成傾向から得られる示唆
1 小学校低・中学年─言語素材の区別─/2 小学校高学年・中学校─構成と論理の区別─
   第5項 存在が予見された事例と実際との照合から得られる示唆

第2節 個人の文脈と社会的文脈とを相補的に扱う学習活動の類型
   第1項 「自らのテクスト表現過程」を先行させる実践例(1)
      ─これまでの自分の読み方を問う導入─
1 両実践の位置/2 本実践の構想/3 単元名・対象・授業担当者・時期/4 教材/5 単元目標/6 学習指導計画[5時間]/7 学習の様子から[2年C組の場合]
   第2項 「自らのテクスト表現過程」を先行させる実践例(2)
      ─これから自分が読む意義や価値を問う導入─
1 本実践の構想/2 単元名・対象・授業担当者・時期/3 教材/4 単元目標/5 学習指導計画[4時間]/6 学習の様子から[3年A組の場合]
   第3項 読書個体史上の位置を自覚する〈仮想的状況〉設定の可能性
      ─状況論的アプローチからの「実の場」概念の再解釈と拡張─
1 両実践開発の当初の目的と「実の場」概念との関係/2 両実践の開発に至る経緯─対照的事例の存在─/3 対照的事例の概要/4 対照的事例との比較から浮上する特徴─「実の場」概念を拡張する〈仮想的状況〉─/5 国語科における状況論的アプローチと〈仮想的状況〉との関係/6 「自らのテクスト表現過程」を先行させる学習活動の類型

第3節 社会的文脈を教材文のみから想起させる方法としての〈書かれなかったこと〉吟味の可能性 
    ─情報科での実践例を踏まえて─
   第1項 社会的文脈を教材文から想起させる必要性
   第2項 実践「論理的に理解しよう」(情報科)の概要
1 「情報科」設置の経緯/2 対象・時期/3 各時の目標/4 学習指導過程(筆者担当分,第5~8時の場合)/5 学習の様子から
   第3項 本実践から国語科に得られる示唆
1 「言われなかったこと」をも吟味する指導が有効であること/2 生徒の抽象的思考(形式操作)の実態に沿う教材開発が必要であること
   第4項 国語科に得られる示唆と説明的文章学習活動との対応

第4節 垂直・水平2方向での系統的な学習活動の展望と課題

第5章 言語生活の拡張を志向する説明的文章学習指導の国語科カリキュラム

第1節 言語生活の拡張を志向するカリキュラム理論の整理
   第1項 能力の発達の系統
1 「説明的文章を読む」という行為の規定/2 「説明的文章を読む」という行為に必要な能力(読みの能力)/3 読みの能力①・②の発達と垂直次元・水平次元の方向性との関係/4 読みの能力の発達段階
   第2項 教材と学習活動の系統的配置
1 学習活動を教科書教材と教科書外教材とで構成する有効性/2 「作業仮説」としての教材に求める「典型性」とそれ以外の要素/3 国語教科書教材の主教材に内包されている系統性/4 中学校国語科における補助教材の必要性とその系統/5 学習活動構造の基本設計─個人の文脈と社会的文脈との相補的学習活動─/6 社会的文脈を学習者に意識させ学習者のコンフリクトを引き出す〈仮想的状況〉/7 複数教材の組み合わせに依らず社会的文脈を学習者に意識させるMECE手法
   第3項 説明的文章学習指導の中学校カリキュラム・モデル
1 カリキュラムの骨格/2 中学校段階のカリキュラム・モデル(試案)

第2節 カリキュラムの観点から見た説明的文章学習指導実践個体史の検討
   第1項 実践前半期における個体史
      ─論理をたどらせる指導からトゥールミン・モデルの導入へ─
1 対象と記述方法/2 第1期(1~5年目)における実践開発の文脈/3 第2期(6~11年目)における実践開発の文脈/4 前半期の総括
   第2項 実践後半期における個体史
      ─トゥールミン・モデルの指導から社会的文脈の重視へ─
1 後半期当初の課題/2 第3期前半(12~16年目)における実践開発の文脈/3 第3期後半(16~20年目)における実践開発の文脈/4 後半期の総括
   第3項 カリキュラム理論と個体史との照合
1 個体史における「実施したカリキュラム」/2 カリキュラム理論から説明される「実施したカリキュラム」の問題点/3 「実施したカリキュラム」に見出される実践上の課題

第3節 課題解決のための実験授業とその検討
   第1項 授業仮説の設定
   第2項 実験授業の単元設計
1 条件─協力校と対象学級─/2 前提─実施時期と主たる教科書教材─/3 主たる教科書教材に組み合わせる教科書外教材の選定/4 使用する2教材の構造/5 〈状況〉の設定/6 学習活動の構想/7 学習指導計画(計6時間前後)/8 学習指導後の調査
   第3項 実施した実験授業の概要
1 単元名/2 学習指導過程/3 調査
   第4項 授業仮説の検証とカリキュラム・モデルとの照合
1 仮説1検証/2 仮説2の検証/3 仮説3の検証/4 カリキュラム・モデルとの照合

終章 研究の総括と展望

第1節 研究成果の総括

第2節 今後の展望
1 読解指導からメディア・リテラシーへの接続に課題があること(①)について/2 説明的文章教材の論理の捉え方に関し混乱が続いてきたこと(③)について/3 中学校段階での系統性になお不明確な部分があること(②)について

あとがき ─謝辞─
巻末注
参考文献
索引
戻る