◆目次
私の研究と原爆
マンモスの牙
2010年の平和宣言について
日常的な言葉がまざった被爆証言(ヒロシマ)―新田篤実さんの場合―
被災体験談資料のリアリティー
日常的な表現への特化
(1)ピカドン(原子爆弾)
(2)ピカ(原子爆弾)
(3)きのこ雲(原子雲)
小説『黒い雨』と広島弁
(1)作品における「がんす」表現
(2)作品における「なんだ」表現
『ヒロシマ日記』と岡山弁
結びにかえて
余滴
後 記
参考文献
索 引
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(「『ヒロシマ日記』と岡山弁」より抜粋)
8月7日
蜂谷さんの体には無数のガラスの破片が突き刺さっていた。蜂谷さんは負傷者の呻き声で目を覚ましたとある。病院の内外は負傷者でいっぱい。この日はけが人で大混乱。
悲劇がリアルで詳しい。
岡山の医師会長さんがお見舞いにきた。会長さんは岡山弁。また、日記には、ようやく、オオゴト(大事)、オオメゲ(大破)など、ポツリポツリ、
岡山弁が飛び出していた。「何もかもわやじゃ」(みなむちゃくちゃだ)とか「・・行っとらあ」(行っているわい)とか独特のものいいは岡山県下の日常語。蜂谷さんが「秋山君」と
呼ぶ人物は岡山出身であろう、彼は岡山弁まるだしであった。蜂谷さんもまたざっくばらんなお人のようであった。
負傷者の呻き声や泣き声などで、病院も大混乱。とにかく、「広島全滅」という、街が廃墟と化した様子がとてもリアルに綴られている。 |